あなたはジーンズで何を主張する?

ベルリンの壁にツルハシを振り下ろした男たちが履いていたのはジーンズだった。

人種差別やベトナム戦争に反対する若者たちは、抵抗の象徴としてジーンズを身につけた。

普段はジーンズにTシャツのシリコンバレーのCEOが、スーツを着るとニュースになった。


ジーンズは社会的文化と切り離せない。19世紀後半のアメリカ西部で、農村や鉱山で働く労働者向けの耐久性の高い作業服として誕生したジーンズ。1960年代には、ヒッピーカルチャーとともに、不条理への抵抗を表していた。第二次世界大戦後に米兵が履いたことで、ファッションとして海外の憧れを日本にもたらした。


ジーンズには”主張”の歴史がある。ただのファッションアイテムではない。ジーンズを履くことで、人は普通の服以上に自分の意思を示すことができる。それほど、強力で、影響力のある製品なのだ。

そのジーンズの生産地として世界的に知られている場所が日本にあることをご存知だろうか。


広島県福山市。ここには紡績、染色、織布、縫製、加工などの工程を担う世界的な企業が集約しており、ジーンズの世界的な生産地として知られている。なぜ、世界でそれほど有名になるのか。それはシンプルに「品質」が世界最高だからだ。元々、藍染めの織物である備後絣(かすり)が有名であり、ここで厚手生地の織布技術や藍染めなどの染色技術が発展するようになった。国内でのデニムの需要が高まるにつれて、その技術はさらに向上し、品質の基準も世界で類を見ないほど高くなったというわけだ。

"日本のものづくり"のすごさについて、私は少しづつ疑いを持ち始めてしまっていた。家電や自動車などの製造業は、世界から輸入した製品を世界最高レベルの品質までカイゼンさせた。海外でも多くの日本製の製品を目にする。しかし、”発展途上国”の技術がどれほど高まっていても、メディアや本はメイドインジャパンは世界に誇れると礼賛している。いつの間にかその技術力は、神話になっているのではないかと消費者レベルでは思ってしまっていた。しかし、ジーンズにおいては、その技術は実際に世界で認められていることを知った。


世界が日本のジーンズに求めるものは、品質以外にもある。それはヴィンテージな風合いを出すことができることだ。ヴィンテージジーンズと呼ばれる、古い作り方で出来上がったジーンズは、いまだに多くのファンを惹きつけており、非常に価値の高いものとなっている。その風合いを日本の産地は出すことができる。

例えば、セルヴィッジデニムと呼ばれる生地は、穿けば穿くほど独特な色落ちをしていくヴィンテージデニムの風合いを出すには欠かせない生地だ。この生地は現代の大量生産型のエアージェット織機などでは織ることはできず、生産効率の悪い旧式のシャットル織機でしか織ることはできない。こちらの織機はもう新しく作られることもなく、職人が毎日音を聞き分けてメンテナンスをする必要のある機械だ。この生地でしか出せない風合いは、日本のジーンズの魅力とも言える。


私たちが作ろうと考えたジーンズは、この世界的なジーンズの生産地である福山でしか作ることができなかった。紡績、染色、織布、縫製、加工が集約している福山だからこそ、自分たちが納得できるような一本が仕上がった。日本が世界に誇れる職人の技術が結集したジーンズが出来上がった。


ジーンズは”主張”ができる服だからこそ、このJOURNEY ARMOURをあなただけの形に変えていってほしい。私たちが手がける製品は、新品が完成品ではない。あなたが穿き、育てて、あなたの人生を映し出していくことで初めて、製品としてできあがるのだ。この一本を纏い、あなたを表すジーンズとしてほしい。


Text by ジュンヤスイ(@jjyasui