今は、私たちの製品を買う必要はありません



「ピンチはチャンスだ」というセリフが、どうも得意じゃない。


なんというか、ちょっと熱血すぎるし、ネガティブな話を無理やり、ポジティブにしようとする強引な印象があるからかもしれない。


実際にピンチに直面した際は、「どうしたものかな」と頭を抱える。「よっしゃ、これはチャンスだ(ニヤニヤ)」と、物語の主人公のように考えられる自分がいるとは思えない。


ほとぼりが覚めた後に、「そういえば、あの時が転機だったね(なんとか乗り越えられたからよかったけれど)」と振り返るのが関の山ではないかと思う。



私たちRockwell Japanは、人を歩かせるジーンズ”JOURNEY ARMOUR”を販売するブランドだ。23オンスの超極厚ジーンズは、歩くことでしか柔らかくならないし、歩いた分だけあなただけの色落ちをするジーンズだ。


だからこそ、旅を愛する人に穿いてほしいし、自分の足で稼ぐことを信条にする人に穿いてほしいし、止まってなんかいられないと考えてしまう人に穿いてほしい。(もちろん、そうなりたいという憧れから穿いてくれることも大歓迎)


しかし、今は、私たちの製品を買う必要はありません。


私たちはジーンズブランドとして、非常にピンチな状態にいるけれど。

この状態をチャンスだと捉えることもできずにいるけれど。


なぜ買ってほしくないかと言うと、私たちのジーンズは、お客様が穿いてくださって、初めて100%の完成品となるからだ。穿いて、歩きまくって、自分の色に染めていくことで、初めて完成する一本だからだ。


だからこそ、旅に出られるようになるまでは、せめて外出が自由にできるようになるまでは、買うのを控えてほしい。


こんなメッセージを出すのは、ビジネスとして考えたら、全くもっておかしな話なのだけど。



そんな状況下でも、私たちから皆さんに言いたいことがある。

それはあくまで、ブランドからというよりは、同じ旅人として言いたいことだ。


私たち人間には、想像する力がある。

想像することで、次の旅の準備を始めることができる。


どこにも行けない状況だからこそ、次の旅はどこにいこうか、そこでどんなことをしようかと想像しよう。


こんな状況になってしまったからこそ、自分の理想の旅や、やりたかったことの解像度をグッと上げてみよう。


じりじりと迫ってくる困窮した生活を救う抜本的な解決策は、私たちのようなジーンズブランドからは提供できない。


それでも、今の日常をちょっとでも前向きに捉えることは、もしかしたら、私たち自身が体現できることかもしれない。


だから、もう一度言う。

今こそ、私たちが持つ、想像だけでワクワクできる力を信じよう。


アラスカの雄大な自然の紅葉を想像してもいいし、四万十川でのカヤックを想像してもいい。映画館で見たお気に入りの作品の感想を飲みながら話すことだって、想像するだけでワクワクしてくる。


綺麗事に聞こえるだろうか。


それでも、私は思う。想像でワクワクすることで、希望を持つことで、長いトンネルをちょっとは楽しく走り抜けることができると



長かった外出自粛明けに出る旅は、これまでとは異なる、信じられないほど刺激的な旅になるだろう。


それはまるで、初めて旅に出たかのような感覚かもしれないし、懐かしいものを取り戻したような感覚かもしれない。


からだが疼く。


それは旅に行けないネガティブな気分からではなく、理想の旅に早く出たいとワクワクするからだ。


ピンチはチャンスだ。

そう捉えたってもいいじゃないか。


Text by ジュンヤスイ(@jjyasui