普遍的な製品は嘘をつかない

“普遍的なもの”にどうしようもない憧れがある。 

時代がどれだけ変わっても残るもの。人に飽きられないもの。長く持ちたくなるもの。

結局、人が回帰したくなるもの。マスターピースと呼ばれるもの。


”ファッション”というと、どうしても流行を抑えた最新トレンドが注目される。今年はナチュラルカラーがブームになるだとか、ロングコートは一着は持っておきたいだとか、ファッションメディアを見てみると、今年の流行が所狭しと書かれている。 その裏にはファッション産業が発展するための”大人の事情”があると思う。だが、「そういった流行を抑えることがファッションなのだ」と言われたら、私たちが目指しているものは、ファッションブランドではないのかもしれない。

時代の発展とともに人の興味は続かなくなっていると、肌感覚で思う。あらゆるコンテンツが溢れかえり、人の時間を潰せるものは多岐にわたる。あれもこれも楽しめるため、一つのことに長い時間興味を持つことが難しくなっている。 本を読みながらも、通知が来たらSNSを覗いて、サブスクリプションサービスで映画を見て、それが飽きたらYouTubeを見る。そんな生活が当たり前になるにつれて、人の集中力は弱くなって、飽き性を加速させるのではないかと思っている。


やることがないから本だけを読んだり、家族の会話だけを楽しむ、ということは意識的にしないとできないようになった。つまり、今は自分で意識的に選択をしない限りは、あらゆる誘惑が襲う、選択肢の広がった時代になっている。

ファッションをはじめとした小売業は、お客様を飽きさせないように次々と新作を出したり、製品のアップデートをする。そうしないと、お客様はすぐに飽きてしまい、自分の興味を満たす別のものを買うようになるからだ。常に人からの脚光を浴びるためには、流行に乗ることが必要になる。それこそがブランドの宿命とも言える。


だからこそ、普遍的なものを私たちは作ろうと努力している。どれだけ人の興味が動くようになっても、結局戻ってくることはあるのだと信じたい。この一着があればなんだって合わせることができる、と思えるジーンズがあると思いたい。このブランドはいつまで経っても飽きないんだよね、と言われるブランドもあると願いたい。


このように、飽きやすい時代だからこそ、その飽きを満たすためのイタチごっこをしていては私たちに勝算はない。世界一の職人たちと製品が作れるのだからこそ、飽きがこない普遍的なものを作ることがしたいと本気で思っている。

あくまで個人的な感覚だが、”トレンドを追うことの虚しさ”もあるのかもしれない。顔の見えないフォロワーを増やすことに躍起となるよりは、その人が傷ついたら自分も同じように苦しくなる大切な人を増やしたい。すぐに役立つノウハウ本よりも、いつ役に立つかわからない厚みのある深い本を読みたい。どんな写真をインスタグラムに投稿するかを考えるよりも、投稿を忘れるほどの旅がしたい。


私たちは、動画と文章にも本気でこだわって製作をしているブランドだ。自分たちで誇りを持って製作しておいて、こんなことを言うのはおかしな話だが、動画と文章は編集でいくらでも水増しすることができる。だけど、しかし、これだけは言えることは、製品は嘘をつかない。私たちが作ろうとしている普遍的な製品は嘘をつかないのだ。


Text by ジュンヤスイ(@jjyasui